2017年12月20日

佐藤賞

私が卒業した大学では、その創立者である佐藤運雄先生の遺徳を称える佐藤会という組織があり、
その会の中で、1年に1人ずつ、臨床家と研究者に 「佐藤賞」 という賞が贈られます。

本年、臨床家としてその賞に選出されて、先日 授賞式に参加してまいりました。

慣れない場に緊張し、お礼の挨拶はカミカミでしたが、いままで研鑽してきたことが認められた証として、光栄と感じるとともに、縁あった方々に感謝しております。

どうもありがとうございました。



  


Posted by クマさん at 10:34Comments(0)医療

2012年02月22日

今年度の感染症の総括と感染対策

昨日は、今年度の感染症の総括と感染対策という講演を聞きに行きました。
講師は、浜松医療センター副院長、感染症科科長 矢野邦夫 先生です。

マイコプラズマ肺炎、急性出血性結膜炎 手足口病、RSウィルス感染症、伝染性紅斑、ノロウィルス胃腸炎、インフルエンザ が話題の中心となりました。



気になった内容として、まずはインフルエンザについて
インフルエンザ流行期には、発熱と咳がある場合、79%の確率でインフルエンザ。
年長小児から成人は、発症して5日たてば、インフルエンザウィルスをほとんど発症しなくなる。
インフルエンザウィルスの生存時間は、凹凸表面で8~12時間、平滑表面で24~48時間。

ノロウィルスについて
感染力が強く、わずか18個のウイルスで感染できる。
ノロウィルスには5つの遺伝子型がある。

かつて、血液型がB型の方は、ノロウイルスに感染しにくいという研究があったと聞いたことがあります。
血液型は赤血球表面に発現しているのですが、腸管上皮細胞や気管の上皮細胞にも発現していることがあります。
それを分泌型と呼び、唾液だけで血液型が分かります。
ノロウイルスのある種のものは分泌型のB型の人には感染しにくくなっています。
ノロウイルスも種類が多いですから、B型だからと言って安心するのは禁物ということのようです。

その他の内容として、糖尿病の人はB型肝炎にかかりやすい、また重症化しやすい。
震災のこともあり、破傷風に注意。
特に1968年以前に生まれた人は抗毒素保有率が低いので、注意していただきたいとのことでした。

いろいろ勉強させていただきました。

  


Posted by クマさん at 22:56Comments(0)医療

2012年01月18日

インフルエンザ

勤務の小出先生がインフルエンザのため、診療が若干滞りましてご迷惑をおかけしました。
予防接種していたにもかかわらず感染したということで、予防の難しさと、日常生活の中での予防の重要性を再認識しております。

現在のインフルエンザ流行レベルマップです。
まだ静岡県は流行前といったところでしょうか。




インフルエンザ情報サービス(下記) でさまざまな情報を見ることができます。
参考になれば幸いです。
http://influenza.elan.ne.jp/index.php  


Posted by クマさん at 18:53Comments(0)医療

2011年08月04日

衆院厚労委員会 児玉龍彦先生の話

7月27日衆院厚労委員会における、東大教授 児玉龍彦先生の放射能汚染の話は、ぜひ最後まで聞くべき内容だと思います。

この内容はほとんどマスコミで報道されていないし、最初の U-tubeのサイトも消されてしまったそうです。



http://youtu.be/eubj2tmb86M



  


2011年06月12日

子宮頸がん撲滅を目指して

HPVワクチン公費接種は子供たちへのメッセージ ~子宮頸がん撲滅を目指して~ という講演を聞きに行きました。
講師の先生は、日本産婦人科医会静岡県支部がん対策委員長 野田 恒夫 先生 です。




子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって起こります。
HPVウイルスは15種類?、世界の子宮頸がん患者の60~70%はHPV16・18型であるため、この2種類のウイルスを標的としたワクチンが開発されたのだそうです。

現状をある程度把握することができました。  


Posted by クマさん at 21:31Comments(0)医療

2011年03月23日

ウランと濃縮ウラン

まずはじめに、原子力発電所の核燃料(ウラン)では、広島、長崎のような核爆発は生じません。

自然界に存在する元素のなかで最も重いものが、元素記号「U」、原子番号は92であるウランです。
天然ウランには主に質量数234、235及び238である三種類の同位体が存在し、このうち核分裂を起こしやすいのはウラン235です。天然ウランはウラン238が約99.3%であり、ウラン235は約0.7%しか含まれていません。

核燃料とするには、ウラン235の割合をウラン濃縮により高めることが必要になります。

原子力発電で使用する「濃縮ウラン」はウラン235を3~5%まで濃縮します。
これに対して、原子爆弾で使用する濃縮ウランは、ウラン235を90%以上まで高めなければなりません。

というわけで、原子力発電所の事故では、広島、長崎のような核爆発は生じないことになります。




原子番号がウランより大きい元素は超ウラン元素と呼ばれ、自然界にはほとんど存在せず、人工的に合成されます。
その代表例がプルトニウムで、原子炉においてウラン238が中性子を捕獲してウラン239となり、それがベータ崩壊してネプツニウム239になり、更にそれがベータ崩壊してプルトニウム239ができるそうです。


参考までに、広島の原爆はウラン、長崎はプルトニウムの核分裂連鎖反応でした。


参考文献






  


Posted by クマさん at 22:49Comments(0)医療

2011年03月19日

情報は受け取り方が難しい

「世界の放射線被曝地調査」という本があります。



その中に、大規模災害が国内で発生した時の10の対処法というのが載っています。

早めに家族全員が帰宅し、ドア、窓を閉める。
水源が汚染される前に、風呂の水や飲料水を十分確保すること。
最低限の食料を確保する。場合によっては1週間くらいの屋内退避に備えなくてはならないかもしれない。
テレビやラジオのスイッチを入れ、最新情報を得ること。
そしてその発生地点と事故のレベルを確認すること。
その距離や風の方向に注意し、放射線源があなたの風上にあり、放射性物質が大量に噴出している事故ならば要注意。
・・・

レベル5以上の場合は・・・・コンブなどの海藻類をすぐに食べ、甲状腺への放射性ヨウ素の取り込みを防ぐ。
ヨードチンキなどを薄めて飲むのも良い・・・だそうです。(P243)


ヨウ素を含む消毒薬を飲まないよう 厚労省
http://jp.ibtimes.com/articles/16188/20110316/.htm
という記事を目にしたばかりなので、専門家の意見にもいろいろあるのだと改めて感じました。

というわけで素人は迷って当たり前ですが、情報に踊らされないよう注意が必要ですね。







  


Posted by クマさん at 18:10Comments(3)医療

2011年03月19日

甲状腺ブロック

イソジンなどのヨード系ウガイ薬を飲め、などという無謀なお騒がせ情報もありましたが、I-131(放射性ヨード)の体内被曝を心配し、無機ヨードによる甲状腺ブロックが必要ではないか、ということで、私のようなところまで問い合わせがあります。

専門家ではないので、あくまでできるだけ偏らないような意見を述べさせていただいておりますが、このサイトに信頼性の高い報告がありますので、紹介させていただきます。

http://www.jsnm.org/

要約すると、現状の大気・土壌汚染状況から判断し、下記の理由で、現状では小児の甲状腺ブロックは不要であると考えます。ただし、今後の状況変化によっては必要となることもありますので、政府発表・関連自治体発表・東京電力発表・報道情報などを十分に注視されますようお願い申し上げます。

とのことです。


  


Posted by クマさん at 16:52Comments(0)医療

2011年03月18日

シーベルト(単位について)

放射線を表す単位はたくさんあります。
シーベルト、グレイ、ラド、レム、レントゲン・・・。

グレイは吸収した放射線のエネルギーの総量(吸収線量)を表す単位です。
単位質量当りの物質が放射線によって吸収したエネルギーを表します。この単位はすべての物質、あらゆる放射線に適用され、1グレイ=1J/kgのエネルギー吸収と定義されます。

最もよく耳にするのは「シーベルト」Svです。
人体が吸収した放射線の影響度を数値化した単位で、吸収線量(グレイ)に放射線の種類ごとに定められた係数を乗じて算出されます。
放射線を石に例えると、石のぶつかった場所や、石の形、ゴツゴツさによって、体に受けるダメージが異なります。それを計算に入れた値であり、それを表す単位です。


1989年(平成元年)4月以前は吸収線量の単位としてラド (rad)、 レム (rem)という単位も使われていましたので、古い本にはこのような単位も出てきます。



最後に大切なことです。
メディアで言われている、例えば400ミリシーベルトには、本来ならば/H(パーアワー)が付いています。
1時間被曝され続けたときに受ける放射線量です。
短い時間なら被曝量は少なくなります。


  


Posted by クマさん at 19:19Comments(0)医療

2011年03月17日

確定的影響と確率的影響

放射線は線量が少ない時は何の変化も見られません。
変化が現れるのは、ある量や強さを超えたところで生じ、この値を「しきい値」と呼びます。 
しきい値があって障害が現れるものを確定的影響といいます。

これに対して、放射線を浴びることで、影響が現れる確率が高くなる影響もあり、これを確率的影響といいます。


人体の組織は、放射線に対する感受性が異なるものの、決定的なダメージを受けなければ細胞や組織はすぐに修復に向かいます。
したがって、弱い放射緯線を継続的に浴びる状況では、ダメージそのものが残らないケースもあるのだそうです。

障害に対する人体の回復力が成せる現象ということです。




 確定的影響
  しきい値以上被曝すると必ず障害が現れる

 確率的影響
  障害の発生が線量の増加に伴い確率的に増加する 
  癌の発生、遺伝的影響が含まれる


  


Posted by クマさん at 04:19Comments(0)医療

2011年03月16日

放射性降下物(ヨウ素とセシウム)

福島では、水道水にごく微量の放射性物質、ヨウ素とセシウムが検出されたという報道がありました。
ヨウ素とセシウムは、放射性降下物(フォールアウト)ということではないしょうか。

チェルノブイリ事故直後、最高の放射能を示した降下物は、放射性ヨウ素だったそうです。
ヨウ素の半減期は8.1日なので、その強さは8日後には半分に、16日後には4分の1に、2か月後にはほとんど消失したようです。
その後の放射性降下物の主役はセシウムです。半減期は30年。
それでは、これに汚染された野菜や肉食べ物を食べると、体内が30年汚染されてしまうのか?

答えは「No」です。
セシウムも他の飲食物と同様に、体内に取り込まれてもしばらくたつと大部分は体外に排泄されます。



参考文献は「放射線は少しなら心配無用」といえる科学の時代が来たことを告げる本
「人は放射腺になぜ弱いか」です。





  


Posted by クマさん at 20:14Comments(0)医療

2011年03月16日

放射線の危険度

放射線の危険度を考えるときに、個人の立場と集団の立場では考え方が変わります。
例えば、0.01%の生命の危険率は、個人にとっては心配しなくてもいい値なのですが、1億人の集団の中では、1万人の障害者を出してしまうことを心配しなければなりません。
専門家や何を対象として話しているのか、また政府は、メディアは? けっこうバラバラではないかと思います。

チェルノブイリの事故の話もよく出ますが、チェルノブイリでは実際の死の灰よりも、放射能恐怖症を起こさせたデマ情報のほうが比較にならないほど有害であったそうです。
正しい情報を知らないと、人間は感情に左右されて誤った判断をしてしまいます。

さらにメディアでは、放射線はどんな微量でも害があるような、誇大にマイナス思考の情報を流します。
多くのバイアスがかかった情報の中で、正しい情報を見極めることは難しいのですが、できるだけ客観的、理性的に情報収集をしていただきたいと思います。
そして、日本人としての誇りを持った行動をしましょう。



放射線医学総合研究所のHPは参考になると思います。

東北地方太平洋沖地震に伴い発生した原子力発電所被害に関する放射能分野の基礎知識
http://www.nirs.go.jp/information/info.php?116


参考文献2 結構わかりやすく基礎知識が学べます。






  


Posted by クマさん at 10:40Comments(0)医療

2011年03月16日

400ミリシーベルトって?

福島原発3号機付近で1時間あたり400ミリシーベルトの放射線量を記録しました。

400ミリシーベルトって、けっこう凄い量に思われると思います。
ではどのくらいの放射線量なのでしょうか?

まず、1シーベルト(1000ミリシーベルト)から考えましょう。
1シーベルトは、人命を損なうには至らないが、けっこう大きな量になります。
人体へのダメージとしては、1キログラムの鉄球をぶつけられた時のダメージと同等です。
結構大けがをします。

4シーベルト(4000ミリシーベルト)になると、約半数の人が命を失うと言われています。
4キロの鉄球(ボーリングのボールくらいの大きさ)をぶつけられた時のダメージと同等ですから、イメージできると思います。


ということで、400ミリシーベルトは400グラムの石をぶつけられたくらいのダメージなので、当たり所が悪ければ痛い思いをするくらい、といった感じでしょうか。




ということで、関東地方で観測されている1マイクロシーベルトっていうのは、1円玉の1000分の1のものをぶつけられた時に生じるダメージ? きっとぶつけられたのもわからないですね。
ということで安心していただきながらも、今後の状況の正確な把握を欠かさないようにしましょう。


上記ダメージに関する参考文献です。






  


Posted by クマさん at 10:09Comments(0)医療

2011年03月16日

放射線について

この度の東北地方太平洋沖地震により被災されました方々に、心よりお見舞い申し上げます。

地震、津波の被害も大変なことでしたが、追い打ちをかけるように原子力発電所の事故が生じ、さらに次から次へと事故が追い打ちをかけており、危険度が増してきている気がします。
自分にできることの1つして、縁あって放射線の講義をした時に読んだ本の中で役立つ情報をまとめてみたいと思います。

このような時、物理学者で文学者でもあった寺田寅彦先生のことばが脳裏に浮かびます。

 ものを怖がらなすぎたり
 怖がりすぎたりすることはやさしいが、
 正当に怖がることはなかなかむつかしい


私たちは自然放射線に囲まれて生きています。
その量は世界の平均で2.4ミリシーベルト(2400マイクロシーベルト)です。
地域によって差があり、国内での最大差は0.4ミリシーベルト(400マイクロシーベルト)。
世界に目を向けると、ブラジル、カラバリ地方では10ミリシーベルトを自然に被曝します。




さて、15日、東京では0・809マイクロシーベルトを記録しました。
群馬は0・562マイクロシーベルト、埼玉は1・222マイクロシーベルト、神奈川は0・182マイクロシーベルト、千葉も0・313マイクロシーベルトと、通常の2~20倍程度だったそうです。

この量は、世界平均の自然放射線の2000分の1以下、そして日本の自然放射線の地域による差の400分の1以下なのです。
人体に問題がない量だということがわかっていただけると思います。



  


Posted by クマさん at 09:35Comments(0)医療

2011年01月15日

インフルエンザ 続き

一昨年の論文からの引用ですが、ある介護福祉施設で行われた研究によると、歯科衛生士が週1回歯みがきや舌みがき、歯垢除去などを行ったところ、実施しなかった施設と比べてインフルエンザの発症率が10分の1に減少したそうです。

なぜ口腔清掃がインフルエンザの感染予防につながるのでしょうか?



仮説としては、鼻からのどにかけての粘膜はタンパク質の膜で覆われているため、ウイルスはなかなかくっつくことができません。
ところが口の中の細菌が出す「プロテアーゼ」という酵素がタンパク質の膜を破壊することで、ウイルスがくっつき、細胞内に侵入できるようになると考えられています。




たぶん、現段階で歯科医が進めるインフルエンザの予防は、うがい水(パーフェクトペリオ)よりも、手洗い、うがい、(マスク)とブラッシングではないでしょうか。

  


Posted by クマさん at 18:30Comments(0)医療